2022年5月にリニューアルされたマツダミュージアムは、マツダ車の過去、現在、未来をストーリーに沿って体感できる4D博物館です。
クルマを見て、触れるだけでなく、製造工程の音や匂いも体感できるので、クルマに関心を持っていない人でも、クルマに興味を持つきっかけになるでしょう。
クルマ好き、特にマツダ車に興味があったり、マツダ車に乗っていたりする人にとっては、過去や未来のマツダ車を知り、現在のクルマの誕生にも立ち会える「聖地」と言っても過言ではありません。
事前予約制ながら、無料で楽しめる大人の体験型ミュージアム。未体験の方には是非お薦めします。
そんなマツダミュージアムへの訪問記を前編、後編の2回に分けてお届けします。
今回は、前編です。
1 マツダミュージアムの概要
マツダミュージアムは、次の概要は次のとおりです。
運営者:マツダ株式会社
場所:広島県府中町にある本社工場内
アクセス:マツダ本社から送迎バス
入館料:無料
開館日:平日(ただし、毎月第1土曜日は、特別開館日として開館)
※ 平日、土曜日ともに事前予約制
ロードスターRFの納車が目前に迫ってきたので、初めて乗るマツダ車のことをよく理解しておこうと思い訪問しました。ロードスターの生産は、本社工場の宇品工場で行われていますから、愛車になるクルマの誕生に立ち会えるかもというほのかな期待も。
2 マツダミュージアムの見どころ
館内の紹介をする前に、マツダミュージアムの見どころを整理してみました。
- 集合場所のマツダ本社ロビーで最新のマツダ車を見られる
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最新のマツダ車を見て触ることができます。訪問時には、新発売のCX-60をはじめ、2022年11月に発表された商品改良後の2023年モデルのCX-5、CX-8、ロードスターRFが展示されていました。
- コンセプトが徹底された見学コースの設定でマツダのストーリーをリアルに体感できる
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ミュージアムでは、過去から未来へ10のゾーンに分かれて、ゾーンごとに車両展示などのコンテンツが揃っています。順番にコースを巡ることで、まるで映画を鑑賞しているように、マツダのストーリーを体感できます。
- 展示車両や展示物などのが厳選されている
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コンセプトに沿って展示車や展示物が厳選されていますので、飽きることなく濃密な鑑賞体験ができるようになっています。
- ゾーン9の工場見学が圧巻!視覚だけでなく、聴覚や嗅覚でもクルマの誕生が体感できる
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コースに組み込まれている工場見学がストーリーのクライマックス。視覚だけでなく、聴覚と嗅覚にもクルマ作りの迫力が飛び込んできます。
3 マツダミュージアムのコンテンツ紹介
それではミュージアムを訪ねます。
3-1 集合場所のマツダ本社
ネットで予約する際に指定された集合場所は、マツダ本社の1Fロビー。マツダ本社は、JR広島駅から南東に4キロほどの場所にあります。
最寄り駅は、向洋(むかいなだ)駅。広島駅からJR山陽線に乗って6分程度で到着です。マツダ本社の目の前にはマツダ本社前というバス停もありますので、広島駅からバスで行くこともできます。
向洋駅歩いて3、4分との場所にマツダ本社があります。その周りにはマツダ病院やズームズーム薬局まで。さすがにマツダの城下町ですね。
マツダ本社のビルは、年間4兆円近くの売上高を誇る企業としては、意外にもこじんまりしている印象です。
本社の1階には、最新の2023年モデルが展示されていました。
- CX-60(ソウルレッドクリスタルメタリック)
- CX-5(ジルコンサンドメタリック)
- CX-8(ロジウムホワイトプレミアムメタリック)
- ロードスターRF(ジルコンサンドメタリック)
もちろん、自由に触ったり乗り込んだりできます。
ロードスターRF。2023年の新色、ジルコンサイドメタリックです。テラコッタ色のシートと相性が抜群の色です。
ジルコンサンドメタリックは、表面はなめらかな曲面をキラキラ光らせるのに、塗装の深いところは沈んで見せる不思議な光沢を持っています。光の入り方によってはマットな色にも見えます。町中では、かなり目を引きそうです。
他の展示車もピカピカです。
予約の時に案内された集合時刻になると送迎バスが本社の入口に付けてくれています。これに乗って、いざミュージアムへ。
本社工場は、マツダ Zoom-Zoom スタジアム広島が60個も入る敷地面積ですので、本社からミュージアムまで、送迎バスで敷地内を10分も走ることになります。
移動時間には、ツアーの案内担当の社員さんがバスガイドさんのように工場内の施設を案内してくれます。
その案内によれば、途中で通る橋は、私企業の橋としては建設当時世界一の長さ(560m)を誇った東洋大橋というそうです。
※工場内は撮影禁止のため、引用の画像でご確認ください。
3-2 マツダミュージアムの1階
バスを降りると、ミュージアムの入口です。
ミュージアムのロビー1F。灰色の建物や設備のが並ぶ工場内の何の変哲もない建物に全く雰囲気の異なる入口が設けられています。
入口を入るとロードスター(プラチナクオーツメタリック)がお出迎えです。
2023年モデルの特別仕様車「BROWN TOP」のプラチナクオーツメタリックです。筆者の愛車(RF)と車体色と内装が同じものになります。プラチナクオーツメタリックは、シルクのような色ですね。
ロードスターに興味のある方はこちらの記事もご覧ください。
1Fには、5台ほどの最新車両が展示され、ちょっとしたカフェ風のコーナーには、壁面にミニカーが飾られ、ミュージアムの雰囲気を演出していました。
奥には、ちょっとしたセミナーが開催できるモニターと椅子が並んだオープンスペースがあります。毎月1度の土曜日のミュージアム解放日(事前予約制)には、マツダの技術者などによるトークライブなども開催されています。
2023年1月の土曜日に訪問した時には「CX-60開発車が語るシリーズ第2弾」というトークイベントを行っていました。もちろん、付随するイベントも無料で参加できます。ただし、先着150人の募集でしたので、予約開始から数日で満員となってしまうようです。
3-3 マツダミュージアムの各ゾーン
平日は、事前に予約した最大40人ほどの来館者がガイド役の社員さんに引率されてミュージアムを見学する形になります。
一方、土曜日の特別開館では、ガイド付きの見学もできますが、希望しなければ自由に館内を見学できます。
ミュージアムは、建物の2階部分になります。
このトンネルを抜けるといよいよミュージアムです。
ミュージアムが10のゾーンに分かれているとの説明があります。紹介はありませんでしたが、このようなコンセプトは、マツダと株式会社博展が共同で制作したもののようです。詳しくは、「ブランドの歴史を体現した企業ミュージアムの体験をデザイン」をご覧ください。
3-3-1 マツダ自動車「ものづくり精神の原点」
ゾーン1 ものづくり精神の原点 1920-1959
いかにも昭和の日本といった車体ですが、保存状態が良く今にも動きそうです。
創業者松田重次郎が1920年以降、日本各地を渡り歩き機械工業から自動車事業を興した歴史が説明されます。マツダの黎明期です。
3-3-2 マツダが総合自動車メーカーとなり国際企業へ
ゾーン2 総合自動車メーカーへの躍進 1960-1969
ゾーン3 時代の変化に対応しながら国際的な企業へ 1970-1985
このゾーンでは、進行方向に沿って時代が下っていくように、発売時期の順番で名車たちが並べられています。
1960年発表のR360です。このカラーリング。見覚えがあります。
1Fロビーに展示していたMX―30です。このカラーは、R360をオマージュしたものだったのですね。
車体色は、ちょっと異なりますが、トップのエンジの色合いは、かなり似てますね。
見学者の年齢によって思わず立ち止まりたくなる車両が異なるようでした。
しかし、このクルマだけは別格扱いです。当然ですね。ひときわ目立っていました。
マツダ・コスモスポーツ(初代)。ロータリーエンジンを搭載した永遠の名車ですね。解説してくれる社員さんによると、いまだに現役で走っている個体があるそうです。
“夢のエンジン”と言われたロータリーエンジン。実用化へのこだわりか、車体だけでなくエンジンも誇らしげに歌っているようです。それにしてもレシプロエンジンに比べると随分小さく見えます。
ロータリーエンジンを搭載したコスモの後続車種。この赤は、クラシックレッドでしょうか。ソウルレッドとは、全く異なりマットな色です。広島カープの赤なのかもしれません。
1978年に発売されたサバンナRX-7。リトラクタブルヘッドライトの先駆けですね。低いボンネットは、小型が特徴のロータリーエンジンだからこを実現できたものです。
リアのガラスハッチは、今見ても新鮮です。
1980年に発売された5代目ファミリア。「真っ赤なファミリア」として大ヒットしたモデルです。当時は、陸(おか)サーファー(なんちゃってサーファー)がサーフボードを乗せて走っていたとか。
【前編】はここまでです。
【後編】はこちらからご覧ください。
ロードスターに興味のある方はこちらの記事もご覧ください。
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