2022年の5月にリニューアルオープンしたマツダミュージアムは、マツダ車の過去、現在、未来をストーリーに沿って体感できる4D博物館です。
この博物館への訪問の記録は、前後編の2回に渡って紹介してきましたが、この記事は番外編として、ロードスター特集をお送りします。
マツダミュージアムは、ロードスター乗りやロードスターが好きな人にとっては、最新のロードスターをじっくり見て、原点である初代ロードスター(NA)にも出会える貴重な場所です。
今回は、ロードスターRFのオーナーでもある筆者がマツダミュージアムで出会ったロードスターについてお伝えします。
マツダミュージアムを訪問すると、マツダ本社1Fの展示車を含めて次の4台のロードスターを見ることができます(2023年1月時点)。
車種 | グレード | カラー | 展示場所 | 備考 |
---|---|---|---|---|
ロードスターRF 2023年モデル | VSテラコッタセレクション | ジルコンサンドメタリック | 本社1Fロビー | 触れたり乗り込んだり可能 |
ロードスター(ND) 2023年モデル | 特別仕様車「BROWN TOP」 | プラチナクオーツメタリック | ミュージアム1Fの エントランス | 触れたり乗り込んだり可能 |
初代ユーノス・ ロードスター(NA) | ベースグレード | クラシックレッド | ミュージアム2F | 触れることは不可 |
ロードスター(ND) 2017年モデル | Sレザーパッケージ | クラシックレッド | ミュージアム2F | 触れることは不可 |
これらのロードスターを次のような観点で見ていきます。
- 2023年モデルのロードスターRFのジルコンサイドメタリックの特徴
- 2023年のロードスターの改良点
- NAとNDとの外観上の相違点
- NDのロードスターとRFの外観上の相違点
1 ロードスター(2023年モデル)の新色ジルコンサンドメタリック
マツダミュージアムは、マツダ本社工場内にあるため、見学するためには、マツダ本社に集合し、専用の送迎バスに乗って現地まで移動することになります。
集合場所であるマツダ本社のロビーには、最新のマツダ車が展示されています。
その中には、2023年のロードスターに新たに追加されたジルコンサンドメタリックを纏ったRFが展示されていました。
ジルコンサンドとは、ジルコンという鉱物を原料とする砂。
ジルコンは、陶芸の釉薬や耐火用のレンガ材料として使われている鉱物です。
ジルコンサンドメタリックは、ご覧のとおり茶色がかった黄色。
今流行りのベージュ系です。
写真の左に移っているCX-8が白(ロジウムホワイトプレミアムメタリック)なので、対比すると違いが際立ちます。
光の入り方によって見え方が異なります。
照明が複雑に当たる室内だと砂のきらめきのように美しいです。
トヨタでいえば、ライズなどに採用されている「ナチュラルベージュマイカメタリック」、ホンダであれば、ヴェゼルの「サンドカーキ・パール」に近い色でしょうか。
この2台と比較すると、マツダのジルコンサンドメタリックは、黄色が深く土色に近いように見えます。
自然の中に溶け込む色ですので、山間のワインディングロードも似合いそうですし、女性のベージュ・コーデとしても受け入れられそうです。
展示されていたのは2022年にラインナップされたテラコッタセレクション。
車体色とシートのテラコッタカラーとの相性は抜群です。
ドア室内側の上部に塗られた外装色が車内にも落ち着いた雰囲気をもたらしています。
ジルコンサンドメタリックは、大人のスポーツカーを演出する色もいえそうです。
2 マツダ・ロードスターの2023年モデル
2022年の11月に公表されたロードスターの2023年モデル。改良点は次のとおりです。
- ボディーカラー(ジルコンサンドメタリック)の追加
- 特別仕様車「BROWN TOP」の新設(RFでは設定なし)
このうち①は、上に書いたとおりです。
ここでは、②の「BROWN TOP」の仕様を見てみたいと思います。
マツダミュージアムの1Fのエントランスに入ると、早速、BROWN TOPがお出向かえしてくれます。
特別仕様車「BROWN TOP」には、ナッパレザーのテラコッタ色のシートが設定されています。
ソフトトップのブラウンとの相性が良いようです。
トップが下がっていたのでわかりにくいですが、上げるとこんな色になります。
展示車の車体色は、プラチナクオーツメタリックです。
BROWN TOP仕様との相性は、この車体色が一番かもしれません。
マツダミュージアムでは、常に最新のロードスターが主役の位置づけですので、ロードスターに興味がある方は是非訪れてみてください。
3 初代ロードスターNAと最新ロードスターNDとの比較
最新ロードスター(通称「ND」)と1989年に発表された初代のロードスター(通称「NA」)を比較します。
まずは、正面から見た表情の比較です。
リトラクタブルヘッドライトかどうかという違いが大きいですが、表情にも違いがありますね。
NAは笑っているように見えなくもありませんが、NDはキッリっと引き締まった表情です。
NAの車体色は、クラシックレッドという当時のユーノス・ロードスター専用にあつらえた色です。
次にリア側の表情の比較です。
バンパーの形状やナンバーの取り付け位置、“ROADSTER” のロゴのデザインなど異なる点が目につきます。
ただ、唯一、共通しているのはテールライトでしょうか。
NDのテールライトは、他のマツダ車と同じデザインですが、NAの丸目をモチーフに使って現代的にアレンジしているとも思えます。
そして、サイドのシルエット。
マツダの車体デザインに関する根本的な考えが変わったことが確認できます。
NAのフロントフェンダーからリアへかけてのシルエットは、単純な曲線ですっきりしていて、まるで小舟のようです。
一方、NDのフェンダーは、前後とも大きく張り出し、複雑な曲面で構成されていて、生き物の生命感を感じます。
まさに、鼓動デザインですね。
NDのフェンダーの曲面は、こちらの展示でも確認できます。
マシーングレーの車体でしょうか。
フェンダーの曲面が複雑で精度高くプレスさせていることが良くわかります。
それに比べるとNAのフェンダーはシンプルですね。
ドアノブも違いますね。
NA(写真上)は小さく金属色でアクセントになっています。
一方、ND(写真下)はユニバーサルデザインのものです。
時代の流れを感じます。
内装やダッシュボードも大きく異なります。
上のNAは、黒い絶壁のように平坦ですが、スイッチ類が多い印象です。
カセットテープの挿入口もあり、時代を感じます。
一方、NDは、手探りで必要な操作ができるようにデザインされています。
また、質感が大幅にアップしています。
サイドブレーキは、大きく違わないようですが、取付位置が異なります。
NAは助手席側ですが、NDは運転席側に取り付けられています。
NA(写真左)のトップには、トノカバーがかかっています。
NAのトップは、W型に折りたたまれるため、格納すると幌の内側がむき出しになり、汚れやすかったようです。
だからトノカバーが必要だったのですね。
一方、ND(写真右)の幌は、Z型に格納されるので、その心配はありません。
意外な共通点がラジオアンテナです。
ND(写真右)のアンテナの設置場所は、NA(写真左)が踏襲されていました。
形状は異なりますが、いずれもポールアンテナです。
ロードスターのリア側のアイキャッチポイントとしてNDにも残したことがわかります。
現在は、ルーフアンテナが主流なので、次世代には引き継がれないかもしれませんね。
NAからNDまで4世代。
ロードスターは、現代のスポーツカーへ大きな進化を遂げていました。
初代からの引き継がれてきたDNAも確認でき、NDが歴史の積み重ねの上に成立していると実感します。
4 NDのロードスターとRFの相違点
最後に、NDのロードスターとRFの相違点です。RFは排気量も大きく、車重も重いわけですが、外観上の相違点もあります。
もちろんルーフの形状が大きく異なりますよね。
サイドガラスの形状も異なります。
ルーフに合わせて角が丸いソフトトップのロードスター(写真左)ですが、RF(写真右)では、ほかのハードトップ車と同様に角張っています。
ホイールとタイヤも異なります。
ソフトトップのロードスター(写真左)のタイヤサイズは、195/50R16ですので、16インチです。
一方、RF(写真右)は、205/45R17ですので、17インチです。ホイールの径が1インチ異なります。
細かいですが、全高が123.5㎝(ソフトトップ)と124.5㎝(RF)と1㎝だけRFの方が高いです。
以上がロードスターとロードスターRFの外観上の相違点です。
当然ですが、最大の相違点は、リアのスタイルです。
RFを気に入るか否かは、このファストバックスタイルが好みかどうかに尽きるようです。
マツダミュージアムを訪れると、マツダというメーカーがいかにロードスターを大切にしているかが伝わってきます。もちろん、メーカーを象徴するような名車であるということもあるでしょうが、ロードスターに込めた熱量を感じることができます。
ロードスター乗りにとっては、ロードスターを愛車にしたことを誇ることができる体験になると思います。
マツダ車が好きな方、特にロードスターにひかれる方には是非、訪問してみてください。
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