新車登録から10年経ったり、10万㎞走行したりすると寿命が来たと言われることがあります。
しかし、これらの寿命の目安は、全くナンセンスともいっても良いでしょう。
現に、このような目安を超えているクルマが元気に街を走っています。
クルマの寿命は、一律に決まるものではなく、個体ごとに経済的な合理性で判断するものなのです。
また、寿命を超えたクルマはどの様に処分するのが良いのでしょうか。
お付き合いのある新車ディーラーに引き取りを依頼することが多いかもしれません。
しかし、ディーラーへ引き渡す方法は、他の処分方法に比べて損することが多いのです。
この記事では、10台以上の車を乗り換えてきたブロガーが、クルマ売却の心得え⑦として、クルマの寿命とそれを過ぎたクルマの処分方法について解説します。
修理費がかさむようになってきたクルマに乗っている方の参考になれば幸いです。
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この記事のまとめ
- クルマの寿命を10年経過時や10万キロ走行時とするのは誤りである。
- クルマの寿命は、経済合理性で考えるべきである。
- 具体的には、クルマに係る修理費が車両本体価格(残価)を超えたときが寿命である。
- クルマの寿命が過ぎたら、自走できる場合は一括査定サイトの利用がおすすめ。
- 自走できない場合は、廃車専門の買取業者への売却がおすすめ。
「車売却の心得え」シリーズの最終回はこちらをご覧ください。
1 クルマの寿命に関する誤解
「10年経ったら寿命だよ」と言われる場合があります。
しかし、実際にはそう単純ではありません。
もし、新車登録からの期間でクルマ寿命を考えるとしたら、10年以上前の旧車がすべて寿命を超えてしまうことになります。
例えば、洗濯機であれば、製造メーカーが「設計上の標準使用期間」を7年間と定めているのが一般的です。
しかし、クルマの場合には、そのような標準使用期間は定められていません。
クルマの新車登録から廃車までの平均的な使用年数は、13.87年(2021年3月末現在。自動車検査登録情報協会調べ)ですが、この数字を超えたら即座に寿命ということもありません。
10年を超えると、ウレタンやゴム部品の劣化が進み、エンジンや足回りの調子が悪くなりやすく、修理費がかかるようになります。
しかし、適切な修理や部品交換を行えば、乗り続けることは可能です。
また、「10万キロ走ったら寿命」という考え方も正しいとは言えません。
例えば、東京都のタクシーでは50万キロ程度まで走行するのが一般的です。
もし、10万キロを寿命と定義してしまうと、多くのタクシーが寿命を超えた後も稼働していることになってしまいます。タクシー会社のように、自社で十分な整備を行う体制が整っていれば、クルマはかなりの長距離を乗り続けることができるのです。
しかし、部品を交換し続けることで永遠に使い続けるのも現実的ではありません。いつか使用し続けることを断念したほうが良いタイミングが来るのです。
これがクルマの寿命ということになります。
2 クルマの明確な寿命とはいつか
クルマの寿命をどの様に考えるべきなのでしょうか。
クルマの寿命は、経済合理性で考えるべきです。
具体的には、クルマにかかる修理代が、その時点の車両本体の価値(これを「残価」といいます。)を超えたときだと考えられます。
理由は次の3つです。
2-1 修理代が残価を超えたら寿命である理由①:修理代は増大する一方だから
エンジン周りのパーツは10万㎞以上走行するとトラブルが出やすくなると言われています。
例えば、まずタイミングベルトやゴム類が劣化して交換が必要になります。
その次に、イグニッションコイルやウォーターポンプ、ドライブシャフトなども劣化が目立ってきます。
さらに乗り続ければ、オルタネーターやラジエター、場合によってはエンジンの本体も痛んできます。
このように経年劣化による修理が必要になると、連鎖的に部品の摩耗や故障が発生し、修理費用も増えていきます。
少なくとも1年間にかかった修理代がクルマ本体の残価を超えてしまうような状況になってしまったら、その後は更に修理費がかさむことを覚悟しなければならないのです。
2-2 修理代が残価を超えたら寿命である理由②:残価は減少する一方だから
車は、新車時から時を経るごとに価値が減少していきます。
経変劣化やモデルチェンジによる新型車に登場などが影響して、車両の残価は右肩下がりに下降していくのです。
例えば、多くの車種が新車登録から10年経つと、新車価格の1/10程度になってしまうでしょう。
もちろん、ランドクルーザーやハイエース、ジムニーといったリセールバリューが高い車種の場合には、もっと残価が高くなります。
しかし、多くの大衆車は、新車登録からの年数が多くなればなるほど、残価が減少し続けるのです。
したがって、一旦、修理費が残価を超える状況になってしまうと、よほどの人気車種やレア車でなければ残価が回復することは期待できないでしょう。
このため、どんどん0円に向かって残価が下がってしまうので、修理という投資に見合わないのです。
2-3 修理代が残価を超えたら寿命である理由③:経済合理性を判断基準にするべきだから
クルマを所有する目的は、便利で快適な移動手段を得ることです。
車を購入するときには、車両の本体価格に見合った利便性や快適性を得ることを考えたはずです。
しかしながら、利便性や快適性は年々低下していく一方であり、経済的に非効率となってしまったクルマを所有し続けることは本末転倒です。
例えば、残価が20万円しかないクルマに30万円の修理費用が必要だとします。
もし、その費用をかけて修理するなら、そのクルマを売却して、50万円を元手に新たなクルマを購入する方が合理的です。
もちろん、クルマには愛着が湧くものですし、手放したくない事情があるかもしれません。
しかし、趣味としてクルマを所有する場合を除いて、経済合理性は無視できません。
クルマの寿命を考える際には、修理や維持にかかるコストと残価との関係を深く考慮するべきです。
乗り続けるためにコストが残価を超えてしまった場合は、所有する合理性がなくなったタイミングです。
クルマの寿命と考えましょう。
以上の3つの理由により、修理代がクルマ本体の残価を超えたら寿命であるということになります。
3 クルマの寿命を判断する基準
クルマの寿命を判断するためには、まずは残価を正確に把握する必要があります。
残価とは、クルマの価値を指し、一般的には中古車市場での取引相場と考えることができます。
中古車は個々の車両が一点ものですから、全く同じ状態のものは存在しませんが、年式、走行距離、車体色、内外装の状態などの条件が近い中古車は存在します。
そのような中古車の取引相場は、中古車業者間で共有されているオートオークションの取引実績を参考にすることで比較的明確になっています。
一般のクルマユーザーが取引相場を把握するのは困難ですが、大まかな額を求めることは可能です。
例えば、中古車サイトで年式、走行距離、車体色、主要な装備などの条件に近い車両を検索し、その車両価格の70~80%程度を参考にしましょう。
詳しくはこちらの記事を参照してください。
その上で、年間に必要な修理費も考慮に入れます。
整備士から話を聞いて今後必要な修理費の目安がわかると理想的です。
実際にかかった修理費と今後かかりそうな修理費が残価を超える場合には、そのクルマの寿命だと判断しましょう。
4 クルマの寿命が尽きたらどうするか
それでは、愛車が寿命が尽きたと判断できる場合にはどうすればよいでしょうか。
3つのうちのいずれかの対応になるはずです。
- クルマを買い換える
- 不具合の起こりそうな部品を修理または交換して乗り続ける
- 乗り潰して廃車にする
ただ、いずれにするかは、現状で自走できるクルマとそうでないクルマで対応が異なりますので、分けて説明します。
4-1 自走できるクルマの場合
自走できるクルマの場合は、修理せずに乗り換えを検討しましょう。
現状の不具合を解消しても、別の箇所が故障する可能性もあり、長期的な解決策とはなりません。
また、乗り潰す場合でも、クルマの自走ができなくなれば価値が下がり、売却先も限られます。
自走できなくなる前に乗り換えることが得策と言えるでしょう。
クルマを乗り換える際には、新たなクルマを購入する新車ディーラーなどに下取りに出すことが一般的です。
しかし、売却額の面では、ディーラー下取りは低くなりやすい傾向があります。
売却額は、新たなクルマの購入資金となりますので、できるだけ高額に売却できる方法を選びましょう。
廃車に近いクルマであっても、海外への輸出需要などにより一定の額で売却できる場合もあります。
高額な売却額を実現するには、中古車業者同士を競合させ、最も高額に買い取ってもらえる業者へ売却することが重要です。
中古車業者を競合させる方法はいくつかありますが、一括査定サイトを利用することをおすすめします。
一括査定サイトを利用すると、一度登録するだけで、最大20社からの査定を受けることができ、高額な売却が期待できます。
筆者は、以前乗っていたフォルクスワーゲン・トゥーランをディーラーで査定してもらったところ、10万2千円でした。
しかし、一括査定サイトを利用した結果、30万5千円で売却することができました。
筆者が使ったのがカーセンサーの一括査定サイトです。
提携業者数が2000超えており、高額な売却を期待できる信頼性の高いサービスです。
4-2 自走できないクルマの場合
自走できないクルマの場合には、残価が大幅に下がってしまいます。
もし、低額な修理費用で自走が可能になる場合には、一旦修理をして乗り換えることもできます。
ただし、元々の残価が低く、修理費用をかけても価値を確保できない場合もあります。
その場合には、寿命が尽きたと判断し、廃車にすることになります。
廃車にする際にもディーラーに依頼するのは得策ではありません。
ディーラーでの査定額が0円だったり、廃車費用が必要だったりする場合には、迷わず廃車専門の買取店を選んでください。
廃車しようとしているクルマを可能な限り再生して中古車として流通する道を探してくれます。
その上に、買取金額を付けてくれる場合も多いです。
少なくとも廃車費用を請求されることはありません。
廃車専門買取店は数が多く玉石混交なのが実態です。
その中で、筆者がおすすめなのは、全国対応でレッカーなどの引取り費用、その後の面倒な手続費用も含め全て無料となる「カーネクスト」です。
廃車専門の買取業者は、海外への輸出市場でのニーズも見ながら、修理をしてクルマを売却するノウハウがあります。
このため、ディーラーでは引取料を取られるようなクルマであってもそれなりの売却額を得られる場合があるのです。
もし、修理が不可能な場合でも、部品や部材をリサイクルすることで収益を得られますから、数万円の売却額で買い取ってくれることもあります。
このような業者の利用を検討してみてください。
廃車にするクルマがまだ車検の残っているクルマの場合、自賠責保険料と重量税の還付を受けることができる場合があります。
また、自動車税も毎年5月に翌年3月までの分を払っているはずですので、軽自動車を除いて一部の税金が還付されます。
このような内容も業者と相談しながら、適切な返金を受けましょう。
5 まとめ
今回は、クルマの寿命とそれを過ぎた車の処分方法について解説しました。
まとめると次のようになります。
この記事のまとめ
- クルマの寿命を10年経過時や10万キロ走行時とするのは誤りである。
- クルマの寿命は、経済合理性で考えるべきである。
- 具体的には、クルマに係る修理費が車両本体価格(残価)を超えたときだ。
- クルマの寿命が過ぎたら、自走できる場合は一括査定サイトの利用がおすすめ。
- 自走できない場合は、廃車専門の買取業者への売却がおすすめ。
★筆者のコメント
国内では、事故で大破した車を修理すると、程度にもよりますが、「修復車」という扱いとなり、中古車としての価値がかなり低くなります。また、水没したようなクルマの場合には、修理して自走できるようになってもほとんど価値がありません。しかしながら、海外の場合には、自走できさえすれば、そのような修復歴や水没歴は意識されない場合が多いです。このため、日本では廃車にしてしまう場合でも、自走できれば海外へ輸出できる場合があるのです。廃車にするしかないと思った場合でも、価値がないと思い込まずに、再利用の可能性があることは覚えておきたいですね。再利用される方が環境負荷も低くなりますから。
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