車売却の心得え⑤ 中古車買取店へ安易に愛車を持ち込むなかれ!

中古車買取店の店頭の様子。愛車を安易に持込むなかれ。クルマ売却の心得⑤
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国道沿いや郊外で「中古車買取」や「簡単査定」「高額買取!」などの看板をよく見かけます。

車の買い換えを考えているユーザーなら、ちょっと寄ってみようかと思ってしまうもの。

でも、中古車買取店へ安易に愛車を持ち込むことは、得策ではありません。

その理由は、中古車買取店の特徴とお店側の事情を理解すればわかってきます。

中古車の売却は、知識の行動で結果が大きく異なる情報戦と言っても良いかもしれません。

中古車買取店との勝負に勝つにはまず相手を知る必要があるのです。

今回は、車売却の心得え⑤中古車買取店へ安易に愛車を持ち込むなかれ!

中古車市場を深掘りし研究した筆者が、中古車買取店の活用の仕方を解説します。

本ページにはプロモーションが含まれています。

「車売却の心得え」シリーズの最終回はこちらをご覧ください。

目次

1 中古車買取店とは

新車ディーラーや中古車販売店でも中古車の買取りを行っていますが、ここではユーザーからの中古車の買取りをメインの業務として行っている業者が展開している店舗を中古車買取店としています。

中古車買取店ビッグモーターの外観

例えば、道端の看板、ラジオやネットのCMでもお馴染みの次のような事業者です。

  • ビッグモーター
  • ガリバー
  • ネクステージ
  • アップル
  • ラビット
  • カーセブン
  • ユーポス
  • カーチス
  • シーボーイ
  • オートバックスカーズ

こうして並べると、どこも同じような業態で、単なるライバル会社と思われるかもしれません。

でも、実際は、大きく二つのグループに分かれます。

上から3社のグループとそれ以外のグループです。

中古車買取店の大手

ビッグモーター

・ガリバー

・ネクステージ

この3社は、いわゆる大手といわれる業者で、いずれも全国に200を越える店舗を展開しています。

そして、単に大手というだけでなく、ほかにも他の業者と決定的に違う特徴があります。

中古車の販売を大規模に行っている大手の中古車買取店、ガリバーの外観
中古車の販売を大規模に行っている大手の中古車買取店

それは、3社に共通して中古車販売(いわゆる小売り)を大規模に行っているということです。

大手の3社は、それぞれ2万台以上の在庫を誇っており、中古車の販売を収益の柱に据えています

中古車の販売を大規模に行うためには、在庫車を展示するための大型店を設置しなければならず、多くの在庫車を管理・販売するスタッフも必要になるため、資金力がないと運営することができません。

このため、大手の中古車買取店にしか大規模な中古車販売を展開できないのです。

中堅の中古車買取店

・アップル

・ラビット

・カーセブン

・ユーポス

・カーチス

・シーボーイ

・オートバックスカーズ

一方、中堅業者も中古車の販売を行ってはいますが、フランチャイズ方式の店舗展開がほとんどで、各店舗に展示できる中古車数に限りがあります。

このため、販売用の在庫を増やすことができず、結果的に収益の柱が中古車の買取業となっています。

中堅の中古車買取店アップルの外観
中堅の中古車買取店では中古車の販売を大規模に行っていない

つまり、大手の3社以外の中堅の業者は、買取専門店と言ってもよい業態なのです。

なお、中古車買取業者ごとの特徴はこちらにまとめています。

※出典:株式会社IDOMの『中期経営計画2 0 2 3 – 2 0 2 7』(IDOM直営店舗における2022年2月期の年間小売台数)

2 中古車買取店への愛車の持ち込みが得策でない理由

クルマを売却しようとするときに、いきなり中古車買取店に愛車を持ち込んでも、高額な買取額を得られるとは限りません。

その理由は、次の3つです。

2-1 高額買取になりにくい理由①:買取専門店では構造的に高額になりにくい

中堅の中古車買取業者は、中古車の買取がメインですので、買い取った中古車を自社で販売することは少なくなります。

買い取った中古車の多くは、オートオークションという中古車業者しか出入りできない中古車の取引市場に出品して転売しているのです。

オートオークション会場の様子
オートオークション会場(CAA)

引用:株式会社シーエーエーのウエブサイト「オークションの種類」

オートオークションでは、中古車の販売店(小売店)や中古車輸出業者などが買い手として参加しており、1台ずつオークションが行われ、買い手の中で最高額を付けた業者が落札者となります。

買取専門店は、ユーザーから買い取った中古車を出品して、落札者に転売することで利益を得ているのです。

オートオークションの仕組みと流通相場については、こちらをご覧ください。

中古車業者間で売買される中古車の価格は、オートオークションの実績で決まっていると言え、車種・同程度の中古車の落札額が相場となります。

これを「流通相場」といいます。

クルマを売却するときには、流通相場で売却することを目指すのが得策といえるでしょう。

ここでは、流通相場や流通相場に近い金額でクルマを売却することを「高額売却」としています。

買取専門店に愛車を売却する場合、売却額は、構造的に流通相場の額よりも低い額になります。

それは、買取額が次のような式で計算されるからです。

買取額 = 流通相場の額 - 買取専門店の利益と経費

このような計算ですから、買取専門店が自らの「利益」と「経費」を確保する以上、ユーザーに支払われる買取額は、流通相場と同じ額になることはありえませんし、それに近づくことさえないでしょう。

ちなみに、買取専門店が「利益」として確保する額は車両価格の10~20%。「経費」は保管料、オートオークション出品費用、陸送費用等として10万円程度です。

このような構造ですので、買取専門店では、高額な買取額となることはないわけです。

ただし、買取専門店でも、前述のとおり小規模には中古車の小売りも行っていますので、自社の在庫として買い取ってもらえるのであれば、高額な買取となる場合はありえます。

中古車の販売を大規模に行ている中古車買取店大手の外観
100台以上の中古車を在庫している店舗も多い

一方、中古車の販売を行っている大手3社(ビッグモーター、ガリバー、ネクステージ)の場合はどうでしょうか。

この3社は、中古車の小売を大規模に行っているため、ユーザーから買い取った中古車を自ら販売することができます。

中古車の買取を商品の仕入れとして捉えていると言えるでしょう。

大手の中古車買取店が自社在庫の数の多さをアピールする外観
自社在庫が多いことをアピールする大手中古車買取店

しかし、大手の中古車買取店では、どんなクルマでも自社で販売するわけではありません

例えば、ビッグモーターやネスクテージでは、修復歴のないクルマしか販売しないとしています。

修復歴がないことに加えて、次の条件のいずれかに当てはまる中古車が自社販売されます。

・人気車種である
・年式が新しい
・低走行距離が比較的少ない

それ以外のクルマは、買取専門店と同様にオートオークションに転売する可能性が高くなります

また、自社で小売りするクルマとして買い取っても、売れ残れば、結局はオートオークションに出品します。

このため、買取専門店に比べれば、高い査定額になることはありますが、オートオークションに出品して転売したら赤字になるような高額査定は、お店側に自社の販売網で売り切るよほどの自信があるような場合を除いて難しいでしょう。

2-2 高額買取をしない理由②:中古車買取店は競争がなければ本気査定をしない

ユーザーが中古車買取店に訪問すると、その店の営業担当者が応対をします。

ここで注意してほしいのは、中古車買取店やその担当者とユーザーとは、利害が完全に対立している状況だということです。

ユーザーは、少しでも高額に売却できれば、嬉しいですよね。でも、買取店やその担当者は、全くその逆です。

少しでも低額で買い取りたいと思っているのです。

中古車買取店の営業担当者は、多くの場合、基本給のほかにインセンティブといわれる歩合給をもらっています。

例えば、某中古車買取店の求人広告の一部です。

クルマの買取業務:無料査定サイトのお客様やお問い合わせのあったお客様を月20件ほど担当します。(中略)買取価格のつけ方は明確なマニュアルがあるのでご安心を。買取業務にも1台ごとにインセンティブがつきます

「インセンティブ」とは、社員が会社の利益アップに貢献したら、その分に応じてその社員の給料が増える仕組みです。

例えば、1人の営業担当者が1か月間に獲得した利益の額に対して、その5%の額を基本給とは別に支給されるような場合があります。

つまり、営業担当者は、自社の利益を伸ばすために、ユーザーから1円でも安くクルマを買い取りたいですし、安くクルマを買い取れれば、その分だけ自らの給与が増えることがあるわけです。

そのような立場の営業担当者とユーザーが交渉するわけですから、よほどの事情がなければ、買取額を高額に査定してくれるわけがありません。

それでは、「よほどの事情」とはどんな事情でしょうか。

ズバリ、他店舗と競争になった場合です。

競争に勝てなければ、買い取れないとなったときには、買取店はギリギリの額で勝負します。

買い取れるか否かが査定額で決まるわけですから、本当に買い取りたいと思えば、他店の査定額を少しでも超える査定額を付けるしかありません。

そのような状況がなければ、高額な査定額は望めないので、いきなり買取店に愛車を持ち込んでも高額な買取額が付く可能性は低いわけです。

2-3 高額買取をしない理由③:担当者の営業トークにはかなわない

中古車買取店に愛車を持ち込むと、そのクルマをできる限り安く買い取るために、営業担当者は、様々なトークを繰り出してきます。

例えば、次に紹介するようなトークです。

①「まさにこのクルマを探しているお客さんがいて、すっ飛んできました!」

このように言われると、嘘かもしれないとわかっていても、高く買い取ってくれるかもという期待が膨らんでしまいます。

②「他社さんの査定額おいくらくらいでした?」

他社の査定を受けていれば、素直に答えてしまうかもしれません。もし、その金額が買取相場よりも低い額なら、買取店は、その数万円上の金額を提示しておけば、売ってくれると考えるので、それ以上の査定額を提示することはしないでしょう。

③「何円くらいなら、うちに売ってくれますか?」

ユーザーの希望額が買取相場よりも低ければ、足もとを見られて、それに近い低額な査定額を提示されることになります。一方、希望額が買取相場よりも高ければ、相手にされないでしょう。儲かりませんから。

④「同じようなクルマのオークション価格を見ると、◇◇万円なので、〇〇万円がギリギリなんです」

場合によっては、オークションデータの一部を見せてもらえるかもしれません。ただ、一部を見ただけでは、流通相場はわかりません。何らかの理由で安い額で成約になった例を見せられるのが関の山です。

⑤「どの買取店も基準にしているオークション相場は同じなので、査定額はどこも変わらないですよ」

確かに、どの中古車業者もオートオークションの相場(流通相場)を基準にしています。これは本当です。でも、「査定額はどこも変わらない」は明らかに事実無根。業態やお店の状況によって査定額は大きく異なります。

⑥「この金額は今しか出せません!」

「中古車の価格は日々落ちていきますので、今が一番高いんです」と言われることもあります。これは一般論として、間違ってはいません。しかし、今しか出せないというのは、事実ではないことが多いでしょう。顧客の背中を押すこのトークは、中古車の買取に限らず、あらゆる業界で浸透していますね。テレビの通販番組を見ていれば、良く出てきます。

⑦「上司に怒られてしまいましたが、なんとかあと5万円アップを了承してもらいました」

最初に提示した額を若干アップして再提示するために「上司」を活用する例も良くあります。「上司に掛け合ってきます」と言われると、ユーザーのために頑張ってくれていると思ってしまいますが、営業担当者とユーザーは、完全に利害が対立していることを思い出す必要があります。営業担当者は、自らのインセンティブのことを考えているかもしれません。

⑧「今売ってくれたら〇〇円にします!」

即決を促す常套手段です。このまま客に帰られると、戻ってこないと考えていると推測できます。つまり、他の買取店では、もっと高い金額で買い取るかもしれないという危機感があるとも言えそうです。

これらのトークを繰り出されたら、よほどの強い意志と正しい知識を持っていないと、相手のペースに飲み込まれて愛車を売却することになってしまいそうですよね。

以上の3点が「中古車買取店へ安易に愛車を持ち込むなかれ」とした理由です。

ただし、あくまでも「安易に」ということです。

中古車買取店に愛車を持ち込む際は、上記の事情を承知したうえで、強い気持ちをもって臨むことをお薦めします。

ミツキ

中古車買取店のことが少しわかったけど、買取店はどんどん増えている印象があるわ。なぜ、こんなに店舗が増えたの?

show(ショウ)

多くのクルマユーザーがクルマを買い換えるときに、ディーラー下取りを使うよね。その下取り額は、流通相場はもちろん、買取相場よりも低く査定される場合が多いんだ。だから中古車買取店には、勝機があるというわけだね。ディーラーの下取り査定額を客から聞き出し、その数万円上の金額を提示するというのがよくある査定額につけ方なんだ。そのような額でユーザーから仕入れた中古車を数日後にはオートオークションで転売するから、短期間に確実に利益を得ることができる。だから、業者も店舗も増えるわけだよ。

3 中古車買取店の上手な活用方法

それでは、中古車買取業者を上手に活用するにはどのようにすれば良いのでしょうか。

それは、上でも触れましたが、中古車買取店を含めて中古車を買い取ってもらえる業者に競争してもらい、査定額を競り合ってもらうことです。

そのための方法としては、自ら複数の業者を呼んで、セリを開くという方法があります。

多くの中古車買取店が出張査定をしていますから、交渉に自信がある人は可能かもしれません。

ただ、初心者には難易度が高いですよね。

そういう場合には、既存のサービスを利用するのが得策だと思います。

具体的には、一括査定サイトの利用です。

上で述べた買取業者のほとんどが参加していますので、これらの業者の中で一番高い買取額をつけてくれる業者へ売却することができます。

筆者おススメの一括査定サイトは、カーセンサーです。

上記のほとんどの中古車買取店が参加していますし、全国2000以上の買取業者が参加していますので、地域によらず利用しやすいと思います。

ただ、一括査定のサービスは、いわゆる電話ラッシュといって、査定を希望する買取店から査定日程等を打ち合わせるための電話が一斉にかかってきます。

ご紹介しているカーセンサーは、電話ではなく、メールでの連絡も希望できますが、全く電話が来ないわけではありません。

もし、電話ラッシュを避けたい場合は、こちらのサービスを利用する方法もあります。

筆者は、新車ディーラーで245万円の下取り額だった愛車を330万円で売却することに成功しました。どうぞご検討ください。

ユーカーパックで売却した時の体験は、こちらの記事にまとめています。参考になれば幸いです。

この記事のまとめ
中古車買取店へ安易に愛車をいきなり持ち込むのは得策とはいえません。中古車買取店との勝負に勝つにはまず相手のことを知る必要があります。
得策と言えないのは、いきなり愛車を持ち込んでも次の理由で高額査定になりにくいから。
①中古車買取店では構造的に高額になりにくい
②中古車買取店は競争がなければ本気査定をしない
③担当者の営業トークにはかなわない
賢く中古車買取店を利用するなら、一括査定などのサービスを利用して、競争してもらうことが大事。もし、電話ラッシュを避けるなら、ユーカーパックをお薦めする。

★筆者のコメント
中古車買取店は、大手に限らず、中堅であってもメディア広告でよく露出しています。人気のタレントを使う場合も少なくありません。これらはいずれも知名度アップやブランドイメージの向上を目指し、ユーザーに店舗を訪問してもらう導線を引くためのものです。

考えてみれば、それらのメディアを利用するには、相当な広告料が必要になります。この広告料は、元をたどればユーザーの愛車に宿っていた価値です。一人一人のユーザーがその価値をしっかり把握し、上手に車の売却をしたいものです。

中古車買取店の店頭の様子。愛車を安易に持込むなかれ。クルマ売却の心得⑤

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