ビッグモーターの事件を機に中古車業界全体が不信の目を向けられるようになってきました。
そんな中でも、クルマを買い換えるためには、愛車を高く売却しなければなりません。
中古車買取店は、ガリバー、ネクステージといった大手業者に加えて、アップルやラビットなどの中小業者もたくさんあります。
数多い中古車買取業者の中で、愛車を売却するとしたら、どの業者を選べば良いのでしょうか。
今回は、車を10台以上乗り換え、車の売買のノウハウを学んだブロガーが、車売却の心得え⑥としてオリコンが実施してしている中古車買取店のランキング調査の結果を基に、一覧表を使って比較してみます。
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この記事のまとめ
1 中古車買取業者を一覧表で比較すると次のことがわかる。
①中古車買取業者のオリコンランキングは高額買取とほぼ無関係
⇒地域による偏りが大きい上に、買取額は評価項目にない。
②中古車の在庫を保持する業者が有望
⇒ビッグモーター、ガリバー、ネクステージの大手3社が有利
③バックグラウンドで見える中古車販売業者の特徴
⇒グループ別に分けた場合、中古車販売を積極的に行っている大手や中堅のグループが有利
2 中古車買取業者を使った適切な売却方法
実際の査定においては、地域や店舗の事情、クルマの車種や状態によって大きく変わりうるため、あらかじめ予測は困難。一括査定サイトが解決策になりうる。
「車売却の心得え」シリーズの最終回はこちらをご覧ください。
1 中古車買取業者を一覧表で比較
1-1 中古車買取業者のオリコンランキングは高額買取とはほぼ無関係
主な中古車買取の2022年オリコンランキング(総合)で比較するため一覧表にしました。
業者名 | 本社所在地 | オリコンランキング(総合) |
---|---|---|
ビッモーター | 東京都港区 | 12位(同率) |
ガリバー | 東京都千代田区 | 12位(同率) |
ネクステージ | 愛知県名古屋市 | 11位 |
アップル | 三重県四日市市 | 2位 |
ラビット | 東京都千代田区 | 5位 |
カーセブン | 東京都品川区 | 3位 |
ユーポス | 大阪府大阪市 | 4位 |
カーチス | 東京都千代田区 | 10位 |
シーボーイ | 岡山県岡山市 | ランク外 |
オートバックスカーズ | 東京都江東区 | 1位 |
上の順位は、オリコンが調べた顧客満足度のランキングです。
2022年度の調査の結果ですが、このランキングでわかるとおり、ビッグモーターは、当時、最大手の業者であったにもかかわらず、最下位に沈んでいます。
当時から決して顧客満足の高い業者ではなかったのです。
そういう意味では、同じく大手のガリバーとネクステージも下位となっています。
これらの大手3社は、急速に会社の規模を拡大してきたという点で共通しており、多くの儲けを確保するために、顧客満足度を犠牲にしてきたということができるのかもしれません。
ただ、この表で示されたランキングの上位の会社が必ずしも、愛車を高く売却できる会社とは限らない点に注意が必要です。
この調査は、「売却手続き」「担当者の接客力」「査定」「売却サポート」の4項目について、サービスの利用者がどの程度推奨したいか回答した結果を集計したものです。(参考:オリコン調査の概要)
このため、売却額とランキングとは直接関係性がないため、「ランキング上位=高額の買取」というわけではないのです。
さらに、このランキングは、あくまで全国を対象とした総合ランキングです。
全国に出店している業者であっても、地域的な偏りがありますし、特定の地域に密着している業者もありますので、地域によって状況は全く異なります。
先ほどのオリコンランキングも、地域ごとのランキングが出されており、次のような結果でした。
業者名 | オリコンランキング(地域) | (総合) |
---|---|---|
ビッグモーター | 関東:8位 甲信越・北陸:3位 東海:7位 近畿:6位 中国・四国:3位 九州・沖縄:2位 | 12位 (同率) |
ガリバー | 北海道:1位 甲信越・北陸:2位 近畿:3位 九州・沖縄:3位 | 12位 (同率) |
ネクステージ | 関東:9位 東海:4位 近畿:5位 | 11位 |
アップル | 東北:1位 関東:1位 東海:2位 | 2位 |
ラビット | 関東:6位 東海:3位 | 5位 |
カーセブン | 東北:2位 関東:3位 東海:1位 | 3位 |
ユーポス | 近畿:2位 | 4位 |
カーチス | 関東:9位 | 10位 |
シーボーイ | 中国・四国:1位 | ランク外 |
オートバックスカーズ | 関東:2位 | 1位 |
ユーザーが愛車を売却する場合、そのユーザーが住んでいる地域にある業者の中から選ぶわけですから、総合ランキングは全く無意味です。お住まいの地域のランキングを参考にするべきです。
1-2 中古車の在庫を保持する中古車買取業者が有望
愛車を高値で売却するには、どの業者に売却するのが望ましいのでしょうか。
それは、愛車を自社の販売用の在庫車として買い取ってくれる業者を見つけることです。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
自社在庫として扱ってもらえる可能性が高いのは、中古車の小売りを行っていて、在庫車を保持している業者です。
その観点で一覧表を作成してみると次のようになります。
業者名 | 店舗数 | 在庫車数※ | 1店舗当たりの 在庫車数 |
---|---|---|---|
ビッグモーター | 258店 (2023年9月現在) | 25,598台 | 99台 |
ガリバー | 460店 (2023年9月現在) | 21,685台 | 47台 |
ネクステージ | 291店 (2023年9月現在) | 29,267台 | 100台 |
アップル | 252店 (2023年10月現在) | 3,798台 | 15台 |
ラビット | 170店 (2023年2月現在) | 1,973台 | 11台 |
カーセブン | 150店 (2021年7月現在) | 409台 | 3台 |
ユーポス | 81店 (2022年9月現在) | 500台以上 | 6台以上 |
カーチス | 35店 (2023年10月現在) | 906台 | 25台 |
シーボーイ | 29店 (2023年10月現在) | 125台 | 4台 |
オートバックスカーズ | 396店 (2023年3月現在) | なし | 0台 |
どの業者でも中古車の小売りを行っていますが、在庫車の数が業者によって大きく異なります。
ただ、そもそも業者ごとに規模が違いますので、在庫車の数を単純に比較するだけでは意味がありません。
そこで、1店舗当たりの在庫数を計算してみることにします。上の表の最も右の列です。
この数値と在庫車数の比較で明らかなのは、大手の3社(ビッモーター、ガリバー、ネクステージ)が圧倒的に多くの在庫車を保持しているという事実です。
中古車の在庫を抱えると、保管、展示、広告、付帯サービスの展開などで大きなコストがかかるため、資金力のある大手の業者しか対応できないのです。
自社在庫として買い取ってもらえる可能性は、大手の業者の方が高いといえます。
そして、自社在庫で買い取ってもらえれば、高額な買取が期待できるわけです。
ただし、大手の買取業者がどんな中古車でも高額で買い取ってくれるわけではありません。
自社の在庫にしたいと思われるクルマ、具体的には人気車種、高年式または低走行のクルマが有利です。
逆に、修復歴ありのクルマは敬遠されます。
また、大手でなければ高額な査定がされないというわけでもありません。
地域によっては、自らの利益を削り大手業者よりも高額な査定をする買取業者も存在します。
とはいえ、あんな事件があったから、ビッグモーターのような大手には不信感があるわ。
そうだね。大手の3社は、急速の規模を拡大してきたから、いろいろと歪が出やすいかもしれない。ただ、中古車を買うのではなく、単に売るだけであれば、長期的な取引にはならないから、割り切って、大手の業者に売却することを検討してみても良いと思うな。最近は、中古車業者への世間の目が厳しくなっているので、常識外れな扱いを受けることはないはずだよ。
1-3 バックグラウンドから見える中古車買取業者の特徴
一覧表に挙げた中古車買取業者は、名物社長が一代で築いた会社もあれば、親会社が作った子会社もあります。
そのようなバックグラウンドは、いわば会社のDNAですので、会社の基本的な考え方に大きく影響します。
ここでは、各社のバックグラウンドに注目して一覧表を作成してみました。
業者名 | 創業地 | 設立月 | バックグラウンド |
---|---|---|---|
ビッグモーター | 山口県岩国市 | 1978年5月 | 創業時から中古車販売店。中古車販売が中心のチェーン店「ハナテン」(大阪)を吸収して、規模を急速に拡大させた。株式を公開していないから株主の目も気にせず経営してきたことが大事件につながって面がある。 |
ガリバー | 福島県郡山市 | 1994年10月 | 中古車買取専門店として創業。途中で業務方針を大転換、中古車販売を開始し事業を拡大。現在は、大型店を次々に出店し、中古車販売が事業の中心となる。 |
ネクステージ | 愛知県尾張旭市 | 1998年12月 | 創業当時は輸入車販売専門。外車の販売やスバルのディーラーも手掛けていた流れで、現在も外車の新車ディーラーも経営。最近、ビッグモーターから引き抜かれた社長が辞任し、創業者が社長に復帰した。 |
アップル | 愛知県名古屋市 | 1993年11月 | 中古車買取専門店として創業。その後関東地域に進出した。このため、愛知県を中心とした中部地区や関東地区では店舗が多いものの、それ以外では店舗展開が少ない。 |
ラビット | 愛知県名古屋市 | 2014年7月 | オートオークション最大手事業者の株式会社ユーエスエスの子会社。中古車の買取は、オートオークションへ出品することが主目的となっている。ただし、フランチャイズチェーン店であり、店舗によっては小売りを行う場合がある。 |
カーセブン | 東京都千代田区 | 1999年7月 | 関東地方の中古車流通業者6社が出資してボランタリーチェーンとして設立。当初からフランチャイズ展開を行っている。関東や東北で多くの店舗を展開。 |
ユーポス | 大阪府大阪市 | 1999年10月 | 大阪のオートオークション「ベイオーク」の一部門として設立。在庫車を一切持たず、買い取った中古車はすべてオートオークションに出品(一部店舗は除く。)。近畿地方と九州地方を中心に店舗展開。 |
カーチス | 東京都葛飾区 | 1994年10月 | 中古車の仕入れ、販売業として設立。「買取直販」を積極的に推進している。関東及び関西中心に店舗展開している。 |
シーボーイ | 岡山県岡山市 | 1996年5月 | 当初から多角的な事業を行う。新車・中古車の販売、車検、整備、処分、リサイクルなど幅広く事業を実施。中国・四国地方と滋賀県をメインに店舗を展開。 |
オートバックスカーズ | 東京都江東区 | 1947年2月 | カーケア用品店「オートバックス」の経営法人が運営。全国展開しているオートバックスを起点に全国で査定・買取ができる体制を整備している。ただし、中古車の在庫は持たず、オークションで仕入れた中古車を販売する方式としている。 |
このように、創立時の会社形態は、現在の業務展開にも影響しています。
ただし、ガリバーだけは、例外です。創業時から変化を遂げ、小売りを中心とする業務展開となっています。
このことから次のようにグルーピングできます。
大手小売店グループ
「ビッモーター」「ガリバー」「ネクステージ」です。
この3社は、多くの在庫車を抱え、大型店で中古車を販売することによる売上げに加え、自動車ローン、任意保険、コーティング、保証延長、アフターサービスパックなどの付帯サービスの手数料でも利益を得るというビジネスモデルです。
また、点検、整備、車検などのサービス業務も積極的に展開して、クルマのあらゆることに対応するワンストップの体制を実現しています。顧客との継続的な関係を構築でき安定的な収入を得ることができるビジネスと言えます。
したがって、これらの業者にとっては、中古車の買取が「中古車販売のための仕入れ」という位置づけですので、自社で販売できる中古車なら積極的に高額な査定額を付けることが期待できます。
中堅小売店グループ
「カーチス」「シーボーイ」が該当します。
創業時から中古車の小売りを行ってきた両業者ですが、上記の大手に比較すると規模が大きくないため、全国展開ができているとは言えません。
また、大型店を持っておらず、大量の在庫車を保持できないため自社在庫として買い取る台数に制約がありあす。
もちろん、自社在庫として買い取ってもらえれば高額査定が出る可能性はあります。
(画像引用:カーチスのウェブサイト)
オートオークション関連買取店グループ
「ラビット」「ユーポス」が該当します。
この2社は、オートオークションを運営する会社の子会社です。オークションに出品するための仕入れとして、ユーザーから中古車を買い取っています。
したがって、査定額が業者間の取引相場よりも低い額になりやすい傾向にあります。
ただし、いずれもフランチャイズ方式ですので、店舗の判断によっては店頭で小売りする場合もあります。
買取専門店グループ
「アップル」「カーセブン」「オートバックスカーズ」が該当します。設立時から買取専門店としての業務スタイルを貫いています。
アップルとカーセブンは、小規模に中古車販売を行っていますが、ユーザーから買い取った中古車は、オートオークションに出品することが多くなります。
オートバックスカーズは、中古車の在庫を持っていないため、ユーザーから買い取った中古車のほとんどをオートオークションに出品していると考えられます。
以上から、バックグラウンドを見ると、自社在庫として買い取ってもらえる「大手小売店グループ」と「中堅小売店グループ」の業者が有利であるとわかりました。
ただ、あくまでも一般論ですので、個別のケースでどのような査定額になるかは別問題です。
2 中古車買取業者を使った適切な売却方法
上で見てきたとおり、業者ごとに特徴があるわけですが、実際にユーザーが高額な査定額を求めてどの買取業者を選択するべきなのかは、悩ましい問題があります。
つまり、次のような問題です。
- 地域ごとに、業者の店舗の展開にバラつきがあり、事情も異なる。
- 競合店の存在によって査定額を上げる場合があるなど店舗ごとの事情に査定額が左右される。
- 自社在庫として仕入れる可能性のある業者であっても、車種や状態によって自社在庫とならない場合がある。
このように、地域や店舗による不確定な部分が多く、どの店舗が一番高く買い取ってもらえるかをあらかじめ予測することは非常に困難なのです。
このため、もっとも確実なのは、それらの店舗に一斉に査定してもらい、一番高い金額を付けてくれた業者に売却する方法になります。
そこで、筆者がおススメするのは、一括査定サイトを利用することです。
多くの買取業者に一度に査定をしてもらい、その中で一番高い買取額をつけてくれた業者へ売却することができます。
筆者がおススメする一括査定サイトは、カーセンサーです。
上記の中古車買取業者はもちろん、全国700以上の買取業者が参加していますので、お住まいの地域によらず利用しやすいと思います。
ただ、一括査定サイトは、いわゆる電話ラッシュといって、査定を希望する買取業者から査定日程等を打ち合わせるための電話が一斉にかかってきます。
ご紹介しているカーセンサーは、電話ではなく、メールでの連絡も希望できますが、全く電話が来ないわけではありません。
もし、電話ラッシュを避けたい場合は、こちらのサービスを利用する方法もあります。
筆者は、新車ディーラーで245万円の下取り額だった愛車を330万円で売却することに成功しました。
ユーカーパックで売却した時の体験は、こちらの記事にまとめています。参考になれば幸いです。
この記事のまとめ
1 中古車買取業者を一覧表で比較すると次のことがわかる。
①中古車買取業者のオリコンランキングは高額買取とほぼ無関係
⇒地域による偏りが大きい上に、買取額は評価項目にない。
②中古車の在庫を保持する業者が有望
⇒ビッグモーター、ガリバー、ネクステージの大手3社が有利
③バックグラウンドで見える中古車販売業者の特徴
⇒グループ別に分けた場合、中古車販売を積極的に行っている大手や中堅のグループが有利
2 中古車買取業者を使った適切な売却方法
実際の査定においては、地域や店舗の事情、クルマの車種や状態によって大きく変わりうるため、あらかじめ予測は困難。一括査定サイトが解決策になりうる。
筆者のコメント
ビッグモーター、ガリバー、ネクステージの大手3社は、今は自動車メーカー系のディーラーと同レベルのサービスを提供しています。クルマの購入に伴うコーティングや保険、サービス保証だけでなく、点検、整備、車検なども幅広く対応し、買取や処分まで。まさにワンストップです。
しかし、そのようなすべてを業者に任せるビジネスモデルであることが裏目に出たようなビッグモーターの事件が起こりました。今後は、ユーザーの一人一人がクルマにかかるお金のことを関心を持って、チェックしていかなけれなりません。
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