マツダスピリットレーシング(以下「MSpR」)ロードスター。そして、その頂点に君臨する200台限定の「12R」。
スーパー耐久シリーズという過酷なレースの現場で鍛え上げられた技術と知見が惜しみなく注ぎ込まれた、待望の市販モデル第一弾の詳細がついに発表されました。SNSやオーナー界隈では『いよいよ来たか!』と大きな話題となっています。
ベースはおなじみのNDロードスターですが、これらのモデルは単なる高性能バージョンではありません。「速さ」と「質感」をかつてないレベルで両立させるという思想が貫かれています。
この記事では、2023年式ロードスターRFの現役オーナーである筆者(ショウ)が、気になるその中身を徹底解剖。
「これって本当に買いなの?」「レース志向すぎて、公道では持て余さない?」そんな疑問に、リアルな視点で応えます。
キーワードは「人馬一体」。
ロードスターが大切にしてきた哲学と、MSpR/12Rが目指す高性能化。そのふたつは共存できるのか――。
気になるモヤモヤに、ちょっと真剣に向き合ってみました。
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この記事のまとめ
- 魅力
- 待望の2.0Lソフトトップモデルが遂に登場
- S耐レースで培われた本物のモータースポーツ技術
- メーカー保証付きの完璧な「ファクトリーチューンドカー」
- 12Rは手作業による仕上げが施された「ビスポークモデル」
- 圧倒的な軽さがもたらすピュアな走行性能
- 限定生産による高い希少性と将来的な価値
- 所有する喜びだけでなく、将来的な資産価値も期待できます。
- 懸念点
- ロードスターの「アフォーダブル」な哲学から逸脱する価格設定
- 希少性と価格から気軽に運転できない「盆栽化」のリスク
- 人馬一体との抵触(ハードコアな仕様が日常の快適性を犠牲にする)
- 従来のファン層にとっては手の届かない存在になる可能性
1 マツダスピリットレーシング・ロードスターと12Rの全容
ついに日本国内仕様のソフトトップに2.0Lエンジン搭載モデルが登場。その実力はいかほどなのでしょうか?
1-1 MSpRロードスターの特徴とノーマルモデルとの違い
マツダスピリットレーシング(MAZDA SPIRIT RACING)は、マツダのモータースポーツ活動のシンボルとして2021年に発足したサブブランドです。
現在、このブランド名を冠したチームが、市販量産車をベースとしたツーリングカーが参戦する「スーパー耐久レース」に参戦しています。

その活動で得られた技術やノウハウを市販車に反映させたのがMSpRロードスターと12Rです。

メーカーが造り上げた「ファクトリーチューンドの完成形」
MSpRロードスターは、日本のファンが長年待ち望んだ「2.0Lエンジンを搭載したソフトトップモデル」という夢の仕様を実現しました。その心臓部はRF譲りの2.0Lエンジン(最高出力184ps)ですが、車両重量は1070kgに抑えられています。
しかし、このモデルの本質はそれだけではありません。
- シャシー・サスペンション: 専用チューニングのビルシュタイン製ダンパーに加え、フロントストラットタワーバーも標準装備し、ボディ剛性を高めています。
- ホイール・ブレーキ: レイズ社と共同開発した軽量な鍛造アルミホイールと、ブレンボ社製の高性能ブレーキキャリパーを採用し、ばね下重量の軽減と高い制動力を両立しています。
- エアロパーツ: ドイツのニュルブルクリンクで走り込んで開発された専用エアロを装着し、高速走行時の安定性を高めます。
- インテリア: 手触りの良いアルカンターラ素材を多用し、レカロ社と共同開発した専用セミバケットシートが体を確実にホールドします。
これら一流ブランドのパーツを、マツダ自身が車両全体で最適に調律し、メーカー保証付きで提供する。まさに「ファクトリーチューンドの完成形」です。
MSpRロードスターとノーマルモデルの違いをまとめると、この表のとおりです。
| 項目 | マツダスピリットレーシング (MSpR) ロードスター | 2025年式ロードスター ソフトトップモデル(RS)6MT | 2025年式ロードスター RFモデル(RS)6MT |
|---|---|---|---|
| パワートレイン | 2.0L 直列4気筒エンジン – 最高出力135kW (184PS) ※12Rは200PS ※ラジエータ改良で冷却性向上 | 1.5L 直列4気筒エンジン – 最高出力100kW (136PS) | 2.0L 直列4気筒エンジン – 最高出力135kW (184PS) |
| ブレーキ(前後) | 前:Brembo社製ベンチレーテッドディスク・対向キャリパー(レッド塗装) 後:大径対向キャリパー(レッド塗装) | 前:大型ベンチレーテッドディスク 後:大径ディスク | |
| サスペンション | ビルシュタイン製車高調整式ダンパー ※バネレートの専用セッティング +フロントストラットタワーバー | ビルシュタイン製ダンパー(RS専用チューニング) | |
| ホイール | 17インチRAYS社製鍛造ホイール専用開発品 | 16インチ標準アルミホイール(ブラックメタリック塗装) | 17インチ標準アルミホイール(切削加工のブラックメタリック塗装) |
| 外装(エアロ) | 新開発のエアロパーツ(フロントスプリッター、リアリップスポイラー、リアバランス)装着 | なし | |
| 内装素材など | アルカンターラ素材(シート、トリム、コントロール類) RECARO社製専用シート | 合成皮革(ブラック) RECARO社製シート | |
| 車両重量 | 1,070kg ※12Rは1,050kg | 1,040kg | 1,110kg |
気になる車両重量については、アメリカ仕様のソフトトップ2Lモデル(MX-5)の1,073kgとほぼ同等の「1070kg」(12Rは1,050kg)となりました。
Show(ショウ)RSグレードと比較すると、インパクトが大きいのは、やはり2Lエンジンの採用ですね。外装では、エアロパーツが目立ちます。
1-2 12Rの限定性と特別装備
次にマツダスピリットレーシング・ロードスター 12R(以下「12R」)の詳細を見てみましょう。


MSpRロードスターが「究極のファクトリーチューンド」なら、12Rは「限定生産のビスポークモデル」と呼ぶべき存在です。生産台数はわずか200台。その名は開発ベースとなったS耐参戦車両のゼッケン「12」に由来します。
12Rは、わずか200台限定の特別モデル。
最大の特徴は、熟練の技術者が手作業で組み上げた、特別チューニングの2.0L SKYACTIV-Gエンジンです。


12Rの特別性は、エンジンに最も顕著に表れています。最高出力は200psに達しますが、その内実は単なるパワーアップではありません。
・職人技によるエンジンチューン: 「匠」と呼ばれる熟練エンジニアが手作業で吸気ポートを研磨し、空気の流れを極限までスムーズにしています。
・専用設計のメカニズム: 専用カムシャフトに加え、藤壺技研と共同開発した4-1レイアウトのエキゾーストマニホールド、さらにエンジンレスポンスを劇的に向上させる軽量なシングルマスフライホイールを採用しています。
そして真髄は、その組み立て工程にあります。マツダの量産車としては史上初となる「1G締め」という手法を採用。
車両が完成し自重がかかった状態で、専門のエンジニアが手作業でサスペンションアーム類を締め付け、精密なアライメント調整を行うのです。これは非常に手間のかかる工程であり、マツdaがいかに12Rのシャシー性能にこだわっているかの証左です。
12Rの特別装備をまとめると、以下の点です。
12Rのインテリアには、サーキット走行を強く意識したRECARO製フルバケットシート(リクライニング機構なし)とSabelt製4点式レーシングハーネス(オプション)を装備。


足元には、アドバン・ネオバAD09タイヤを装着したRAYS TE37 Saga SL鍛造軽量アルミホイールが奢られています。


抜群のグリップ力を発揮する組み合わせです。ちなみに、アドバン・ネオバタイヤは、オプション扱いになります。
ボディには剛性を高めるアルミニウム製ストラットタワーバーも装備されます。
12Rの特別装備をまとめると、以下のとおり。
- 手組みによる200PS・2.0Lエンジン
- フジツボ製エキゾーストマニホールド(バンテージ付き)とチタン製マフラー
- RECARO製フルバケットシート
- RAYS TE37 Saga SLホイール
- ボディ剛性向上のためのアルミストラットタワーバー
- 専用エアロパーツ(フロントスプリッター、サイドスカート、リアスポイラー)
- 特別な組み立て工程「1G締め」と専用アライメント調整
- 専用デカール&「12R」エンブレム
- シリアルナンバープレート(エンジンルーム内)





排気系が大幅に強化されているので、排気音の迫力に期待できそうです。昨今の騒音規制でNDの排気音は年々大人しくなっていますが、その影響も気になりますね。
1-3 デザインとスタイリングの魅力
MSpRロードスターと12Rは、レース由来の機能的なデザイン要素が特徴です。特に12Rについては、ボディカラーも特徴となっています。
エアログレーのボディに映えるレーシングスピリット
スーパー耐久参戦車両と同じ専用ボディカラー「エアログレーメタリック」は、このモデルの象徴です。一見ソリッドなグレーですが、光の当たり方でメタリックが輝き、深みのある表情を見せます。





この色調は、愛車のカラー「プラチナクオーツメタリック」と比較すると、メカニカルで、クルマのキャラクターにピッタリだと思いました。
随所に配されたレッドのアクセントや「MAZDA SPIRIT RACING」のデカールが、レーシングスピリットを強調し、一目で特別なロードスターとわかるデザインとなっています。


機能美を追求したエアロダイナミクス
12Rに装備されるフロントスプリッター、サイドスカート、そして特徴的な分割式リアスポイラーを含むエアロキットは、単なる見た目だけの演出ではなく、高速走行時の安定性向上に効果を発揮するものです。
さらに、リアスポイラーは、後方からの視線を引き付ける存在感を放ちます。


ドライバーを高揚させるアルカンターラと赤の空間
インテリアは、アルカンターラ素材と赤のアクセントで統一された空間が広がります。これは高級感の演出だけでなく、太陽光の反射を抑え、グリップを向上させるという機能的な選択でもあります。
コックピットの主役はレカロシートです。MSpRロードスターは日常性も両立したセミバケット、12Rは一切の妥協を排したフルバケットシートを標準装備。


さらに12Rのタコメーターには、最高出力を発生する7200rpmの位置に「▲」マークが記され、エンジンを回す楽しみを視覚的にも刺激します。


スタイリングの魅力をまとめると、以下の4点です。
- 専用エアログレーカラーとレッドアクセント
- 「MAZDA SPIRIT RACING」ロゴ入りデカール
- 機能美を追求した専用エアロパーツ
- アルカンターラ素材とレッドステッチの高級感あるインテリア
- レカロのフルバケットシート
- タコメーターの「▲」マーク
2 スペックと価格から見るMSpRロードスターと12R
さらに詳細なスペックと価格を確認していきます。
2-1 エンジン性能と走行特性の詳細
MSpRロードスターと12Rの真価は、単なるスペックの数値にはありません。
数値以上の官能性を追求したエンジン
MSpRロードスターはRFと同じ184psですが、車重が40kg軽い1070kgのため運動性能は確実に向上しています。その頂点に立つ12Rは、200psまでパワーアップし、車重をさらに20kg軽い1050kgまで絞り込みました。


しかし、12Rの魅力はいかにしてそのパワーを生み出すかという点にあります。高回転志向の4-1エキゾーストマニホールド、そして軽量なシングルマスフライホイールの採用は、アクセル操作に対するエンジンの回転昇降の鋭さを劇的に高め、ドライバーの意思とエンジンが直結したかのような、ダイレクトで官能的なフィーリングを優先した選択です。
2-2 価格設定とノーマルモデルとの比較
MSpRロードスターが5,265,700円、12Rが7,612,000円という価格は、ロードスターが新たな領域へ挑戦することを示します。
これはベースグレードのロードスター「S」(約289万円〜)と比較すると、かなりの価格差です。12Rの価格帯は、かつて発売された伝説的なコンプリートカー「M2 1001」(NAのコンプリートカー。詳しくはこちら)がベース車の約2倍の価格だったことを彷彿とさせます。
RFのRSグレードとの価格差
この価格設定は、特別なチューニング内容と限定生産という希少性によってリーズナブルな価格と言えるのでしょうか?
2Lエンジンを積むノーマルモデルRFのRSグレードに、MSpRと類似したオプションを付けるとこのような金額となりました。


| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 車両代金合計 | ¥5,039,949 |
| ロードスターRF RSグレード(エアログレーメタリック) | ¥4,308,700 |
| メーカーオプション | ¥330,000 |
| (内訳) | |
| フロントブレーキ:Brembo社製ベンチレーテッドディスク &Brembo社製対向4ピストンキャリパー(レッド塗装) | |
| リアブレーキ:キャリパー(レッド塗装) | |
| タイヤ:205/45R17 84Wタイヤ | |
| ホイール:17×7JインチBBS社製鍛造アルミホイール | |
| ショップオプション | ¥401,249 |
| (内訳) | |
| [MAZDASPEED]リアスポイラー(ブラック) | ¥30,800 |
| [MAZDASPEED]フロントアンダースカートセット | ¥49,170 |
| [MAZDASPEED]サイドアンダースカート(ブラック) | ¥44,660 |
| [MAZDASPEED]リアアンダースカート(ブラック) | ¥40,669 |
| [MAZDASPEED]ストラットバー(RS用) | ¥51,040 |
| デコレーションパネル(アルカンターラ(R)) | ¥35,640 |
| ドアトリム(アルカンターラ(R)) | ¥49,720 |
| シフトブーツ(アルカンターラ(R))MT車用 | ¥14,960 |
| センターコンソールリッド(アルカンターラ(R)) | ¥20,020 |
| パーキングブレーキブーツ(アルカンターラ(R)) | ¥15,840 |
| フロアマット(プレミアム) | ¥32,230 |
| セレクティブキーシェル(エアログレーM) | ¥16,500 |
諸費用を除く車両とオプションの合計額が503万円ほどになります。
MSpRロードスターの装備品が汎用オプションではなく専用品であることを踏まえると、526万円台というのは一定の合理性がありそうです。



ただし、RFには約63万円相当(ソフトトップとRFのRSグレードでの比較)の電動ハードトップが装備されているため、この点を考慮すると割高に感じる方もいるかもしれません。
3 MSpRロードスターと12Rの発売時期と最新情報
ここでは発売時期と最新情報をお届けします。
3-1 予約方法と発売日スケジュール
両モデルの納車開始は、2026年1月上旬が予定されています。予約方法はモデルによって大きく異なります。
12Rの予約方法 (抽選販売)
200台限定の12Rは、商談予約権をかけた抽選販売です。
申込方法: 公式スマートフォンアプリ「倶楽部 MAZDA SPIRIT RACING」からのみ可能です。
申込期間: 2025年10月5日(日) 14:00 から 10月20日(月) 23:59 まで。
抽選結果通知: 2025年10月23日(木)に当選者へ通知されます。
商談開始: 当選者は10月24日(金)以降に商談を開始できます。
MSpRロードスターの予約方法 (先着順販売)
2200台限定のMSpRロードスターは、先着順での販売です。
予約受注開始日: 2025年10月24日(金)から全国のマツダ販売店で開始されます。
これは、12Rの抽選に外れたユーザーがすぐに検討に移れるよう、戦略的に設定された日程です。
生産(販売)台数
MSpRロードスターと12Rは限定生産(販売)となっています。
| MSpRロードスター | 12R | |
|---|---|---|
| 生産(販売)台数 | 2,200台(限定生産) | 200台(限定販売) |
当初、MSpRロードスターは、限定生産の予定ではなかったですが、方向転換したようです。


4 ロードスターの現役オーナーはどう見る?魅力と懸念点
現役のND型ロードスターオーナーである筆者が、今回発表されたMSpRロードスターと12Rについて率直な感想をお伝えします。ファンならではの視点で、その魅力と懸念点について掘り下げてみましょう。
4-1 オーナー視点でのMSpR/12Rロードスターの魅力
限定感とコレクション価値
MSpRロードスターと12Rは、希少性のあるモデルになると考えられます。特に、12Rは200台という限定生産となっているため、リセールバリューが高額になることは間違いありません。
このような限定モデルは将来的なコレクション価値も期待でき、ロードスター史に名を残す一台になるでしょう。



とはいえ、リセールバリューが高そうだからという理由で12Rを購入したいとは思いません。本当に欲しい方に所有してもうのが一番です。
洗練された走行性能
MSpRと12Rは通常モデルよりも、より高い速度帯で安定したハンドリングを感じられることは間違いないでしょう。
特にNR-Aにも採用されているビルシュタイン製のサスペンションは、硬めのセッティングで、ロールを抑えながらコーナーを気持ちよく抜けられます。
そして、Brembo社製のブレーキシステムは、軽量であるだけでなく、耐フェード性も高いため、連続したブレーキングでも強い制動力を維持できます。
さらに、サーキットを志向する方に向けて、オプションで「スリットローター&スポーツパッド」まで用意されています。


このような装備によって、サーキット走行での走行性能が研ぎ澄まされたことは間違いありません。
この限定感と走行性能は大きな魅力です。
4-2 オーナー視点でのMSpR/12Rロードスターの懸念点
一方、懸念点もあります。
ライバル車種との比較
526万円という価格帯では、国産では、トヨタ・GRヤリスやホンダ・シビックTypeR、そしてフェアレディZなどもライバルになってきます。
一方、12Rの761万円となれば、BMWのM2やポルシェの718ケイマン、ボクスターも視野に入ってきます。MSpR/12Rロードスターと競合車種の比較をまとめると、下表のとおりとなります。
| メーカー | 車名 | グレード例 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| Mazda | MSpRロードスター | – | 526万円余り |
| Mazda | MSpRロードスター 12R | – | 761万円余り |
| Toyota | GRヤリス(6MT) | RZ High Performance | 498万円 |
| Honda | シビック Type R (FL5) | Type R | 499万円 |
| Nissan | フェアレディZ(6MT) | ベースグレード | 549万円 |
| BMW | M2 (G87)(6MT) | – | 988万円 |
| Porsche | 718 Cayman(6MT) | ベース / S | 948万円 |
| Porsche | 718 Boxster(6MT) | ベース / S | 968万円 |
ロードスターのオーナーであっても、目移りするほどのライバルたちです。
MSpRロードスター購入に大きな懸念点となりそうなのは、間違いなくこの価格設定です。
ロードスターの本質との距離感
MSpRと12Rは紛れもなくレース由来のモデルですが、これはNAロードスターの開発原点である「人馬一体」から少し遠ざかっているのかもしれません。
NAロードスターの開発時における「人馬一体」とは、「ドライバーが意のままに車を操り、一体となる感覚を重視する思想」だと考えられます。NAはライトウェイトスポーツのオープンカーというスタイルからも「公道」における人の感覚を重視するクルマでした。
言い換えれば、ロードスターの本質はまさに公道由来のモデルだったのではないかと思います。
このようなロードスターの本質との距離感がMSpR/12Rロードスターの懸念点として筆者が最も気になる点です。



愛車のRFの2.0Lエンジンについては、正直、持て余してしまうことも多いです。(腕がないだけですが。。。)日本の公道で気持ちよく走るという点では、「より速く、より硬く」が正解とは限らないと思われます。
5 マツダスピリットレーシング・ロードスターと12Rは買いなのか
これまでの分析を踏まえ、MSpRロードスターと12Rがどのようなユーザーにとって「買い」なのか、最終的な評価を下します。
- サーキット走行を愛する熱心なエンスージアストにとって
- MSpRロードスターは、間違いなく「買い」です。同レベルの性能をアフターパーツで実現するコストと手間を考えれば、メーカー保証付きで完璧にバランス取りされたこのモデルの価格は正当化できます。予算が許すなら、手作業の仕上げと特別な組み立て工程を持つ12Rは究極の選択肢となるでしょう。
- コレクター、あるいは投資家にとって
- 200台限定、特別なエンジン、ブランド初の市販車というヒストリーを持つ12Rは、「買い」となります。将来的な価値の上昇が強く期待されます。しかし、コアファンの立場からは、投資対象としてほしくはありません。
- 我々のようなロードスターファン、週末のドライブを楽しむユーザーにとって
- ここでの判断は難しいでしょう。12Rはそのハードコアな性格から「買いではない」可能性が高いです。MSpRロードスターは魅力的ですが、ノーマルモデルを自分仕様に育てていく楽しみと比較検討する必要があります。
市場における競合との比較
約530万円のMSpRロードスターはトヨタのGR86などと競合し、約760万円の12Rはポルシェ 718ケイマンのエントリーモデルにも手が届く価格帯です。
しかし、12Rが提供する「自然吸気」「1050kgという軽さ」「オープンエア」「FR」「MTのみ」という組み合わせは、現代の市場で他に類を見ません。この唯一無二のキャラクターこそが、高価格を正当化する最大の根拠です。
これらの点を踏まえると、購入のためには現在の愛車をいかに高く売却できるかも重要なポイントになりますね。
筆者は、NDロードスターRFを購入するためにそれまで乗っていたフォルクスワーゲン・ティグアンを売って原資を作りました。その時に使ったのが「ユーカーパック」です。
ユーカーパックは、車買取オークションサービスを提供するプラットフォームで、売り手が愛車をより高く売ることができる仕組みを整えています。
ディーラーの下取り額よりも約35%も高い金額(330万円)で愛車を売却し、ロードスターの新車を購入することができました。
ユーカーパックの主なメリットは以下のとおりです。
高額売却が可能
ユーカーパックは、8000以上の中古車業者が参加するオークション形式を採用しており、買取店だけでなく、中古車販売店や輸出業者が競り合うことで、より高い価格で車を売却することが可能です。
簡単なプロセス
査定は1回だけで済み、複数の業者からの営業電話もありません。オークションの進行状況はマイページでリアルタイムに確認でき、安心して取引を進めることができます。
中間コストの削減
オークションを自社で運営することで、多くの中間業者を介さずに車を流通させるため、流通コストを抑えられます。これにより、売り手は車を高く売り、買い手は安く購入することができます。
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6 マツダスピリットレーシング・ロードスターと12Rの魅力と懸念点まとめ
この記事をまとめると次のとおりです。
この記事のまとめ
- 魅力
- 待望の2.0Lソフトトップモデルが遂に登場
- S耐レースで培われた本物のモータースポーツ技術
- メーカー保証付きの完璧な「ファクトリーチューンドカー」
- 12Rは手作業による仕上げが施された「ビスポークモデル」
- 圧倒的な軽さがもたらすピュアな走行性能
- 限定生産による高い希少性と将来的な価値
- 所有する喜びだけでなく、将来的な資産価値も期待できます。
- 懸念点
- ロードスターの「アフォーダブル」な哲学から逸脱する価格設定
- 希少性と価格から気軽に運転できない「盆栽化」のリスク
- 人馬一体との抵触(ハードコアな仕様が日常の快適性を犠牲にする)
- 従来のファン層にとっては手の届かない存在になる可能性
この記事がMSpRロードスターの購入を検討される方、または興味のある方の参考になれば幸いです。
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