筆者のクルマは、ND型ロードスターRF・VSテラコッタセレクション・MTです。
車体色は、プラチナクオーツメタリック。
納車されてから2か月間が経ち、おおよそ2000㎞を走行しました。
納車前には、ロードスターのことを丹念に調べていましたし、何度も試乗していました。
さらに、Sスペシャルパッケージをレンタカーで半日借りて箱根の山で乗り回したこともあったので、ロードスターのことがわかっている気になっていました。
しかし、実際に所有者として乗ってみると、事前の想定とは異なる点が多々見つかりました。
そこで、納車後2か月経過した時点での愛車の評価を「美点」と「気になる点(欠点)」を挙げて、評価してみることにします。
NDロードスターの購入を検討していたり、単にロードスターに興味があったりする方の参考になれば幸いです。
なお、納車の後のファーストインプレッションは、こちらの記事にまとめています。
2か月間で印象か大きく変わったことがご確認いただけると思います。
1 ロードスターの日常的な使い勝手
筆者の場合、通勤にはクルマを使わないので、ロードスターに乗れるのは主に週末です。
ツーリングなど乗ることだけを目的に出かけることもありますが、買い物のためスーパーマーケットやアウトレットモールに出かけることも多いです。
ロードスターは、そのような日常的な用途にも問題なく対応しています。
もちろん、2人しか乗れませんし、トランクルームだって、小型のファミリーカーと比較して1/3程度の容量しかありませんから、どのような用途にも対応するとは言えません。
例えば、ホームセンターで小型の家具や観葉植物を買っても、自力で持ち帰ることはできませんし、3人以上で出かけることもできません。
ただ、筆者の場合には、このような用途が年間に数回しかありませんから、カーシェアでファミリーカーを借りて対応すれば済んでしまいます。
ロードスターは、日常の足として十分に使えるクルマだと実感しています。
2 ロードスターRFの納車後2か月目の評価:良い点(美点)
それでは、評価していきます。
まずは、ロードスターを所有してみて気が付いた「美点」をまとめてみます。6点挙げます。
2-1 ロードスターRFの美点:運転のダイレクト感を伝える絶妙なチューニング
ロードスターに乗っていると、不思議と音楽やラジオを聴きたくなりません。
折角、BOSEサウンドシステムが付いているのに、あまり使いたいとは思わないのです。
その理由は、運転のダイレクト感が薄れるからです。
ロードスターの美点の1つ目は、運転のダイレクト感です。
ロードノイズやエンジンの吸排気音はドライバーにとって大事な情報源です。
これを聴覚で感じることによって、車速やエンジン回転数を的確に把握できます。
ロードスターは、この音の情報をダイレクトにドライバーに届けてくれるのです。
そして、視覚からも情報をダイレクトに受け取ることができます。
メーター視認性が良いため、エンジン回転数が自然と目に入り、低い車高の低い効果で路面の状態が良く見えるのです。
さらに、触覚からの情報もダイレクトに感じることができます。
ステアリングやシフトノブ、シートから伝わってくる振動を通じて、路面の凹凸やエンジンの状態を感じることができます。
振動が音と連動して体に伝わるため、リアルな路面の状況やエンジン回転を正確に把握できるのです。
ロードスターは、聴覚、視覚、触覚という3つの感覚を通じて、まるで調律された楽器のようにバランスよく、クルマの状態をダイレクトにドライバーに伝えてきます。
初代NAから培われた経験とノウハウが、絶妙な調律を実現しているのでしょう。
このダイレクト感は、間違いなくロードスターの魅力の1つです。
2-2 ロードスターRFの美点:桁違いに安定しているコーナリング性能
ロードスターにとってコーナリングは大の得意科目です。
どこまでも曲がっていけるのではないかと錯覚するくらい良く曲がります。
重心が低く、軽量である上に、エンジンや乗員という重量物がクルマの中心に集まっている構造であるため、良く曲がる条件がそろっています。
この素性の良さは、他のスポーツカーと比較してもトップクラスでしょう。
コーナーの入口でステアリングを切れば、すぐに鼻先がイン側を向いてくれます。
そして、その操舵に対応して、後輪も追従しますが、後輪側はどっしりと安定感をキープしたままです。
このような効果は、KPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)というリアのロールを抑える機能が貢献しているのでしょう。
コーナリング中に安心感を得られるので、気持ちよくコーナーを楽しめるのです。
2-3 ロードスターRFの美点:ドラマチックなエンジン
ロードスターRFの2Lのエンジンは、低速トルクがあるので、多少ずぼらなシフトワークをしても、問題なく対応してくれます。
2速発進から4速、6速とギアを飛ばすように変速しても平然としているのです。
それでいて、4000回転以上は、トップエンドの7500回転までストレスなく回り、特に5500回転くらいから上は、牙をむくような荒々しいサウンドとともに一段上のパワーを発生させます。
低回転での穏やかさと高回転での野性味が同居したドラマチックなエンジンといえるでしょう。
エンジンは、運転席のすぐ前、エンジンルームから見ると、ドライバー側に突き出すように配置されています。
このため、ドライバーは、エンジンの存在を音と振動を通じて、強く感じることができます。
ロードスターRFの美点の1つは間違いなくこのエンジンです。
2-4 ロードスターRFの美点:秀逸な外観デザイン
ロードスターの外観デザインは、ロングノーズとショートデッキというスポーツカーの王道を行っています。
前後のフェンダーの造形も秀逸で、曲線が複雑に織り上げられ、鼓動デザインの真骨頂である生命感を強く感じるものとなっています。
さらに、RF(リトラクタブル・ファストバック)は、ハードトップならではのルーフからリアにかけて絞られてく独特のデザインを持っており魅力的です。
このデザインは、国産車で有数の美しさと言っても良いでしょう。
2-5 ロードスターRFの美点:非日常を演出する電動ハードトップ
ロードスターRFに装備されている電動ハードトップの開閉スイッチは、日常と非日常を切り替えるスイッチです。
ハードトップを格納するまでの13秒間で世界が一変します。
慣れ親しんだ道路であっても、このスイッチでトップを開ければ、見知らぬ世界が開けます。
陽光が車内にあふれ、風が心地よく吹き抜けていきます。
街中に響く人々の声や、そよ風に揺れる木々のざわめきなど、いままで聞き逃していた音が車内に響きます。
日常の風景を非日常に変えてくれる。
それが電動ハードトップです。
2-6 ロードスターRFの美点:スポーツカーらしからぬ燃費
これまで2000㎞走っての平均燃費は15㎞/Lです。
峠を元気よく走ったり、1時間以上渋滞に捕まったりする普通の使い方でこの数字でした。
もちろん、MTなのでATよりも有利かもしれませんが、それでもスポーツカーらしからぬ数字です。
燃費が良いので、つい遠回りしてしまったり、不要不急の用事を作って出かけたりします。
そんな効率性の高さもロードスターの魅力です。
燃費に関しては、さらにこちらの記事で詳しくご紹介しています。
ロードスターRFの美点を6点挙げてみました。
ロードスターRFの納車後2か月目の評価:気になる点(欠点)
次に、ロードスターの気になる点を整理します。
納車直後に気になった点は次のようなことでした。
- 着座位置が低い
- 車内が狭い
- 収納がほとんどない
しかし、2000㎞走ってみたところで、これらの点は、ほぼ気にならなくなりました。
もちろん、状況が改善されたわけではないのですが、慣れてしまうと、ストレスを感じないのです。
それに、ロングノーズでショートデッキの流麗なスポーツカーであれば、いずれも致し方ないことです。
メーカー側は、そんなデメリットは百も承知で、あえて不自由に作っているのでしょう。
ですから、これらを欠点とは言えないと思います。
一方、筆者が現時点で気になっている次の5点は、メーカー側に頑張ってもらえれば何とかなりそうなことです。
次期NEロードスターでは、改善してもらえたらなと願います。
3-1 ロードスターRFの欠点:大きめのスカットルシェイク
ロードスターをオープンにして、路面状態の悪い道路を走ると、特有の振動が発生します。
「ブルブル」というよりも「ブルブルッンッ」という感じで、揺れが短い時間で減衰していくような振動です。
特に、スピード抑制のために設けられている段差舗装を超えるときに強く感じます。
Aピラー付近が多少大きめに揺れ、シートや内装もわずかに振動します。
このようなオープンカー特有の振動をスカットルシェイクといいます。
NAの時代からロードスターのスカットルシェイクを気持ち悪いという人がいました。
しかし、4代目のNDで、しかもソフトトップに比べて剛性が高いはずのRFであっても振動を感じるということに多少のショックを受けました。
ルーフを上げてクローズドにしてしまえば、全く気にならなくなってしまうので、オープン走行時のみの問題ですが、気になるポイントです。
もちろん補強するためには重量増となってしまうのですが、改善を望みたいところです。
3-2 ロードスターRFの欠点:装備されていないシートリフター
ロードスターのシートはグレードによって異なりますので、あくまでも筆者のナッパレザーのシートの評価です。
筆者は、身長が177㎝ほどありますが、姿勢よくシートに乗り込むとルーフと頭頂部の隙間は2㎝ほどしかありません。
このため、車内で動くと頭がルーフに当たり不快感がありますし、上部の視野が狭くなるため、信号機が見えにくいという実害もあります。
標準的な体格の方に合わせてシート位置を決める必要があるのでやむを得ないのかもしれません。
しかし、座面の上下位置を調整できる「シートリフター」があれば随分改善されるのではないでしょうか。
快適装備という面ではなく、安全装備としてもシートリフターの装着をお願いしたいところです。
3-3 ロードスターRFの欠点:空気清浄機能のないエアコンフィルター
ロードスターには、エアコンフィルターが付いていません。
正確には、網目状のフィルターが装着されていますが、空気清浄機能がないものとなっています。
メーカー側としては、オープンカーなので割り切っているということかと思いますが、ダイハツ・コペンやホンダ・S2000にも装着されています。
なんとか検討してほしいところです。
筆者のように花粉症のユーザーにとって、春は、ルーフを開けられずに我慢するシーズンです。
我慢してルーフを閉めているのに、エアコンの噴出し口から花粉が放出されてはたまりません。
社外品が出ていますので、何とか対応していますが、取付方法に多少の難があるため、はやり純正の装備として装着してほしいところです。
社外品エアコンフィルターについては、こちらの記事で詳しく書いています。
3-4 ロードスターRFの欠点:ドアパンチしやすいドア
ロードスターのドアは4ドア車と比較するとサイズが横に長くて大きめです。
このため、駐車場で車内から出る際、隣にクルマが停まっているときには、ドアをぶつけそうになります。
ドアパンチをしないようにそっとドアを開くのですが、任意の位置にドアが停まり切らず、意に反して大きく開いてしまったりします。
ドアの開閉が緩い点は、NDの初期型からは改善されているようですが、まだ十分ではありません。
ドアを開いているときに突風が吹くと自然に開いてしまうほど、固定が不十分です。
ドアチェックリンクという部品を取り換えると改善するという情報もありますが、ノーマル状態でも対策してほしいところです。
多少窮屈な姿勢で乗車していますので、車外に出る際には体の自由が利きにくいですから、ドアが不安定だと何かと不便です。
改善をお願いしたいところです。
3-5 ロードスターRFの欠点:安っぽいスマートキー本体
ロードスターの気になる点の最後は、スマートキーの質感が低いところです。
ロードスターのスマートキーは、機能面では不足はありません。
キーを取り出さずに施錠と開錠ができますし、トランクルームだけを開錠するボタンも付いてます。
しかし、スマートキー自体の質感が高くありません。
端的に言ってしまうと、安っぽいのです。
プラスチックのシェルの部材が良くないのか、肌触りがさらさらしていて滑りやすく、傷も付きやすいです。
おまけにシェルの厚みが足りないせいで剛性感がなく、なんとも頼りない感じです。
もう少し、厚みがあるしっかりしたシェル素材にしてもらえると良かったと思います。
筆者は、どうしてもこのキーシェルになじめず、1か月点検の際にディーラーオプションのキーシェルを購入しました。
ノーマル品と比較するとプラスティックの光沢と肌触りが良く、質感が大幅にアップした印象です。
ボディと同色のプラチナクオーツメタリックにしましたので、満足感も高いです。
ただ、交換用のキーシェルが14,000円以上の価格ですので、是非ノーマルでもこの程度の質感のものとしてもらいたいところです。
ロードスターの気になる点を5つ挙げてみました。
4 ロードスターの評価のまとめ
筆者がロードスターRFを購入して約2か月間が経って、2000㎞走ったところでの評価をしてみました。
まとめると、美点と欠点は次のとおりとなります。
美点
- 運転のダイレクト感を伝える絶妙なチューニング
- 桁違いに安定しているコーナリング性能
- ドラマチックなエンジン
- 秀逸な外観デザイン
- 非日常を演出する電動ハードトップ
- スポーツカーらしからぬ燃費
欠点
- 大きめのスカットルシェイク
- 装備されていないシートリフター
- 空気清浄機能のないエアコンフィルター
- ドアパンチしやすいドア
- 安っぽいスマートキー本体
総括すると、
一言で言って、ロードスターを所有することで得られる楽しさや満足感は、もはや魔法のレベルです。
魔法の魅力を前にすると、細かい欠点などは、かすんでしまいます。
そもそもカスタムすることによって解決できる欠点もあり、実際にエアコンフィルターやスマートキーはカスタムで対応できました。
他の欠点についても対応する方法がありますので、時間をかけてカスタムしていく中で、解決したいと考えています。
欠点を解決する楽しさを与えてくれるのもロードスターの美点ということかもしれません。
欠点さえも美点に変えられる喜びがあるのがロードスターである、ということを結論として、総括にしたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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